まずは解体工事。スケルトンなので、内壁、天井、床はもちろんの事、窓枠、配管も全て撤去します。施工会社にもよりますが、通常は「電気、水道の縁切り、仮設設置、内装解体、ガス管撤去」の順番で行います。解体時に水道や電気を気にする必要が無いため、作業効率が良く、作業がスムーズに進みます。また、解体後の墨出しも効率が上がり、精度も向上します。ですが、なぜか配管や電気配線の撤去を墨出しの後に回す会社が多いです。水回りなどは、部屋の広さも狭いので、墨出しの効率はかなり悪くなります。結果として、人件費がかかってしまうのですが、なぜか改善されないので不思議です。

また、古いマンションでは、TV配線が各住戸独立しておらず、上下階でつながっていることがよくあります。誤ってTV配線を切断してしまうと、現場住戸の縦並びの住戸全てで、TVが見れなくなるので要注意です。

解体が終わったら、新規プランの墨出し、窓枠の設置を行います。今回は、外壁面に全く断熱材が入っていなかったので、スタイロフォームを躯体に圧着しています。結露が軽減され、カビの発生を抑制することができます。本来は、ウレタンを吹き付ける方が効果が高いのですが、予算の都合上、スタイロフォームでの施工となりました。

本来、壁の下地組を行ってから、配管工事に入るのがベストなのですが、今回、予定が調整しきれず、配管工事と壁下地工事を同時に進めることとなりました。壁の下地はLGS、配管が通る部分に先行して上下のランナーを固定しておきます。こうすることで、同時進行でも効率を下げることなく進めることができます。

配線工事は下地組が終わってから、一気に行います。マンションの場合、大体2日間あれば配線は全て完了します。今回は分電盤の位置変更もあったため、電気メーターから幹線を交換しています。

スケルトンリフォームなので、住戸内（専有部内）の配管、配線は全て新しいものに変わりました。

配管、配線工事が終わったら、内装工事を一気に進めます。マンションの場合、壁、天井、床の順番で作っていきます。下地が組みあがったら、建具枠、ボード貼り、床組みと進め、途中、ユニットバスの組立、キッチンの設置などが入ります。

ボード貼り、造作家具の設置などの作業が一通り完了したら、クロスやフローリング、タイルなどの仕上げ工事に入ります。仕上げ後、洗面台、照明、コンセントなどの設備機器を取り付け、工事が完了します。

今回のリフォームでは、デザインアイデアをいくつか取り入れていますので、そちらを紹介します。

梁型に鏡を設置することで、大きな梁の圧迫感を軽減しています。

間接照明は、造作上できてしまう凹凸やスキマを利用して設置。よく間接照明を設置するために、わざわざ凹凸を作っているデザインを目にしますが、よほどデザイン的に優れていない限り、わざとらしさができてしまいます。店舗など、常に電気が付いている場合は良いのですが、住宅で電気を消している間などは、特にわざとらしさが目立ちます。どうしても出来てしまう凹凸にさりげなく間接照明を設置することで、照明を消した時でも不自然さが無く、さりげなく空間に溶け込みます。

その他、玄関収納や電話台などの造作収納は、既製品を使用していますが、サイズをオーダーしてピッタリサイズに仕上げています。設計や納期の関係などで敬遠されがちですが、しっかりとした設計と設計通りの施工ができていれば、何の問題もなく収まります。