既製品の家具をカスタム 〜IKEA家具にタイルを貼って裏側も美しく~

家具選びにおいて、見た目と機能性のバランスはとても重要です。特に今回は店舗什器として使用するため、家具のデザインが空間の印象を大きく左右します。しかし、市販の既製品では「あと少しここがこうだったらいいのに」と感じることも多いものです。そんな時におすすめしたいのが、既製品のカスタマイズです。今回は、IKEAの家具を使い、その背面にタイルを貼るという少しユニークなカスタム方法をご紹介します。
既製品家具の魅力と限界
IKEAに代表される既製品の家具は、デザイン性が高く、コストパフォーマンスにも優れているため、多くの人に支持されています。特に北欧風のシンプルで洗練されたラインナップは、さまざまなインテリアスタイルにマッチしやすく、今回の内装デザインに自然と馴染んでくれます。
しかし、既製品にはどうしても「画一的」という側面があります。大量生産されているため、同じ家具を使っている所も多く、個性を出しにくいというデメリットも否めません。また、家具の背面は壁に面する前提で作られているため、仕上げが粗い場合も多く、「裏側が見える場所に置くのはちょっと…」と感じてしまうこともあります。
今回は、お店のガラス窓から家具の背面が丸見えというパターンでした。店舗用の家具を購入すれば解決するのですが、基本的にオーダー製作となってしまい、コストがかかってしまいます。
家具の背面が「見える場所」になる問題
店舗に限らず、最近の住宅ではオープンな間取りが増え、家具を部屋の中央や空間の仕切りとして使うケースが多くなってきました。そのような使い方では、家具の「背面」がどうしても見えてしまいます。壁にぴったりとつけて使うことを想定している既製品の家具は、背面が仕上げられていないことが多く、いかにも裏面という感じのベニヤ板が、空間全体の印象を崩しがちです。
今回は、元々背面をタイルで仕上げた造り付け家具を設置する予定でしたが、オーナー様の予算をオーバーしてしまったため、既製品の家具に「タイルを貼る」というアイデアを提案させていただきました。
使用した家具とタイル
カスタムに使用した家具は、IKEA製のチェストです。シンプルなデザインで、どんな空間にも合わせやすい組立家具。組み立てはオーナー様のDIYによりコストダウンを図っています。
使用するタイルは、ミラタップ(旧サンワカンパニー)の100角タイルで、目地色をLIXILのカラー目地(空色)にしています。

施工の流れ
施工は以下の手順で行いました。
1. 背面にベニヤ板を貼り付け
まずは家具の背面にベニヤ板を貼り付けます。通常家具の背板には、3mm程度の薄板を使用していることがほとんどで、段差もあるため、そのままではタイルを貼ることができません。厚さが12mm以上のベニヤ板を貼り、施工面の強度を確保し、フラットにします。
2. タイルの仮置きと配置確認
タイルを貼る前に、実際に並べて配置を確認します。また、要所要所に墨を打っておき、貼りながら配置を修正できるようにしておきます。
3. 接着剤でタイルを固定
3mmのくし目コテで接着剤を塗って、1枚ずつタイルを貼っていきます。通常は100角タイルだと9枚のシートになっていることが多いのですが、今回のタイルはシートになっていない物だった為、目地幅の目安となるスペーサーを1枚ごとに使用。予め打っておいた墨で区切り、数回に分けて行いました。
4. 目地埋めと仕上げ
タイルがしっかりと固定されたことを確認した後、目地材を使ってタイルの隙間を埋めていきます。目地材の表面が乾いたら、タイルに付着した目地材と余分な材をスポンジで丁寧に拭き取り完成です。
既製品のカスタムでコストダウン
タイルを貼ることで、家具の背面がまるでインテリアの一部のようになり、どこから見ても様になる仕上がりになりました。タイル面にはお店のロゴを貼り付け、外側から見ると、白いタイルで作った看板のようにも見えます。ただ、デメリットもあり、タイルを貼ったことで、家具の重量がかなりの重さになり、移動が一人では難しくなってしまいました。

家具に限らずフルオーダーで作る物は、基本的に費用がかかります。既製品をベースにすることで、費用も抑えられ、自分の好みにぴったりのインテリアを作り上げることが期待できます。
これから家具を選ぶ方や、今使っている家具に少し飽きてきたという方は、ぜひ「カスタム」という選択肢を考えてみてください。既製品をほんの少し手を加えるだけで、暮らしの質はぐっと豊かになるはずです。
プランインフィニットでは、今回のような既製品のカスタムやリメイクのご相談を承ります。どうぞお気軽にお問い合わせください。